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所得漏れ・所得隠し・脱税の違い2019.12.17

カテゴリー:お役立ち情報 , 所得税

有名お笑い芸人による税金の無申告問題が世間を騒がせたことは記憶に新しい事と思います。

一連の報道で“所得隠し”や“脱税”という言葉を見かける機会が増えましたが、それぞれの言葉が意味するところ、法令上の解釈にはどのような違いがあるのかをお役立ち情報として記しておきます。

世間的には、“所得漏れ”・“所得隠し”・“脱税”という3つの区分で議論されることが多いのですが、この区分は法令上、正確ではありません。

そもそも“所得隠し”という言葉は条文の規定に無く、いわゆる“マスコミ用語”と呼ばれるものです。それぞれの言葉が意味するところを区分するのであれば、「①過少申告加算税の対象(=所得漏れ)」、「②重加算税の対象(=所得隠し)」という課税処分の区分と、「③告発の対象(=脱税)」という刑罰を求める区分に分けられます。つまり、課税を目的にしたもの(①②)と、罰則の適用を目的にしたもの(③)です。

それぞれの線引きには、どのような基準があるかといえば、①と②の場合、悪質性や故意性等が考えられるようです。例えば、①に関する規定では「…修正申告書の提出又は更正があつたとき…」( 通法65 ①)とされ、その“故意性”を明確に示しているわけではないのです。ただ、②に関する規定では「…課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽…又は仮装したところに基づき…」( 通法68 ①)とあるように、隠蔽や仮装という“故意性”にまで触れています。これが両者の違いと言えるでしょう。

②と③の場合、対象事案の規模などが、境界線としてあるようです。具体的な基準は不明ですが、査察の目的は調査をして各税法の罰則規定を根拠に告発することであるため、「[A]悪質性」、「[B]脱税の規模」、「[C]刑事立証のための証拠収集の程度」等を総合的に勘案し、告発するか否かを検察庁と協議しているということです。これまでの告発事案についても、こうした要件に基づき判断がされているようです。