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「令和3年度税制改正について」(後半)2021.5.18

カテゴリー:お知らせ

Ⅲ.資産税関連

1.   住宅取得等資金の贈与税の非課税措置

・住宅用家屋の新築等に係る契約を令和3年4月1日から同年12月31日までに締結した場合の非課税限度額が引き上げられました。

 

非課税限度額

契約締結日 令和2年4月1日~令和3年3月31日 令和3年4月1日~令和3年12月31日
消費税率10% 1,500万円 1,500万円(改正前1,200万円)
それ以外 1,000万円 1,000万円(改正前800万円)

上記は耐震、省エネ、バリアフリーの住宅用家屋に係る非課税限度額で、一般の住宅用家屋は上記からそれぞれ500万円減。

 

・床面積要件の下限について、改正前は50㎡のところ改正後は合計所得金額が1,000万円以下の場合40㎡に引き下げられました。

・令和3年1月1日以後に取得する住宅取得等資金に係る贈与税に適用されます。

2.   教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の見直し

・教育資金の一括贈与について、贈与者死亡時に贈与資金のうち未使用残額がある場合、現行は死亡前3年以内の贈与に係る残額が相続税対象ですが、全ての贈与に係る残額が相続税対象に改正されました。

・教育資金、結婚・子育て資金ともに、贈与者死亡時に子以外の直系卑属(孫等)に贈与した資金のうち未使用残額がある場合、残額に対応する相続税額を2割加算の対象に加えられました。

・令和3年4月1日以後の贈与等により取得する金銭等に適用し、制度の適用期限は令和5年3月31日まで延長されました。

3.   非上場株式等の相続税の納税猶予制度における後継者役員要件の緩和

・非上場株式等について、被相続人が70歳未満で死亡し後継者が特例承継計画に特例後継者として記載される場合、後継者が被相続人の相続開始直前に特例認定承継会社の役員でなくても相続税の納税猶予制度が適用されることとなりました。

 

Ⅳ. 納税環境整備関連

1.   電子帳簿保存制度の見直し

・電磁的記録による保存について、令和4年1月1日以後、税務署長の承認制度が廃止され、関係書類等の備付け要件、見読可能性の確保要件、税務職員が求める帳簿データのダウンロードに応じる要件の3要件を満たせば、電磁的記録の保存が認められます。

・また、上記関係書類等の備付け要件、見読可能性の確保要件の他、本改正で不要となった帳簿の訂正・削除履歴の確保要件、帳簿の相互関連性要件、検索機能の確保要件の5要件全てを満たす形でデータ保存する場合は、その帳簿データの記録に申告漏れがあっても過少申告加算税を5%軽減する措置が導入されます。この措置の適用を受けるには、あらかじめ税務署に届出書を提出することが必要であり、令和4年1月1日以後の申告期限等に係る国税に適用されます。

・所得税の青色申告特別控除65万円の適用要件は「仕訳帳と総勘定元帳について、上記関係書類等の備付け要件、見読可能性の確保要件、税務職員が求める帳簿データのダウンロードに応じる要件の3要件を満たして電磁的記録の保存を行うこと」となります。

2.   スキャナ保存制度の見直し

・請求書や領収書等のスキャナ保存についても、令和4年1月1日以後、税務署長の承認制度が廃止され、タイムスタンプの付与期間を記録の入力期間(最長2月以内)とし、スキャナで読み取る際に受領者等の自署が不要となります。また、訂正・削除の履歴を確認できるシステムにデータ保存した場合はタイムスタンプの付与は不要となります。

・また、相互けん制、定期的検査及び再発防止の社内規程整備等の適正事務処理要件は廃止され、紙原本とデータとの確認(定期検査)をせずに紙原本の廃棄が可能となります。

・検索要件として、検索項目を取引年月日、取引金額及び取引先に限定し、保存義務者が税務職員のデータダウンロードの求めに応じることとする場合は、範囲指定及び項目を組み合わせて設定できる機能確保が不要となります。取引が行われた事業年度の前々事業年度の売上高が1千万円以下である場合に税務職員のデータダウンロードの求めに応じることとする場合は、検索要件は不要となります。

・記録事項に仮装隠蔽があった場合には、重加算税が10%加重されます。

3.   税務書類の押印義務の見直し

・実印と印鑑証明書が必要な遺産分割協議書等の税務書類を除き、令和3年4月1日以後に提出する税務書類への押印義務が廃止されます。

4.   個人住民税の特別徴収税額通知の電子化

・令和6年度分以後特別徴収税額通知(納税義務者用)について,個々の納税義務者に電子的に送付できる体制を有する特別徴収義務者が求めた場合、市町村はeLTAX及び特別徴収義務者を経由して電子的に送付するものとされました。