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形式上の貸倒れと備忘価額2020.10.10

カテゴリー:お役立ち情報 , 法人税

新型コロナウイルス感染症の影響による取引先の倒産や取引停止等で売掛金等の回収ができるか不安な企業も多いことでしょう。取引先が一定の状況に陥ったことで売掛金等が回収できなくなった場合に、税務上、貸倒損失を計上できる基準があります。そのうちの1つ「形式上の貸倒れ」では、損金経理要件が設定されているほか、備忘価額を付すこととされています。付された備忘価額は、その後「事実上の貸倒れ」の状況となったときに消すことができるということです。

「形式上の貸倒れ」とは、貸付金等を除く売掛債権が対象で、継続的な取引を行っていた取引先の資産状況等の悪化で取引が停止し、停止時等から1年以上経過した状況のことです。一方、「事実上の貸倒れ」とは、取引先の破産、死亡などにより金銭債権の全額が回収できないと明らかになった状況のことで、全額を損金経理することで全額が貸倒損失として計上できます。

例えば、取引先Aに対する売掛金が10万円で備忘価額を1円に設定した場合、「形式上の貸倒れ」の状況になったときの仕訳は、

  • 貸倒損失 99,999円 / 売掛金 99,999円

で、その後「事実上の貸倒れ」になったときの仕訳は、

  • 貸倒損失 1円 / 売掛金 1円

となります。

なお、「形式上の貸倒れ」で備忘価額を残しておくのは、取引先の業績好転等で実際に回収できる可能性に鑑み、売掛金等がまだ存在していることを示しておくためだということです。「事実上の貸倒れ」となるまでは、経理事務において取引先台帳などで取引ごとの情報等を管理しておく必要があります。