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業務上必要なPCR検査費用は寄附金・交際費等にならず2021.6.28

カテゴリー:お役立ち情報 , 法人税

「本来負担すべき者が誰か」により判断が異なる点に注意

新型コロナウイルスへの感染を未然に防止するために、同一の職場に勤務する自社の従業員及び取引先の作業員等に対して定期的にPCR検査を受けさせることを義務付けるケースがあります。取引先の作業員等に係る検査費用を自社が負担した場合、自社自身の業務のために必要なものであれば寄附金又は交際費等に該当せず、全額損金算入できます。ただし、取引先への資金援助や便宜供与の性質を有する場合は寄附金又は交際費等に該当します。

陰性が証明された者のみ勤務可の現場も

新型コロナウイルスの感染拡大が依然深刻な状況となっており、企業においては徹底した感染対策とともに安心・安全な職場環境の整備が責務となります。

とある建設現場では一作業所に様々な業種の作業員等が出入りするため、従業員や取引先(下請等)の作業員等に対しPCR検査の実施を義務付け、陰性確認がとれた者のみ勤務を認めています。一作業所に感染者が発生すると作業所の閉鎖や濃厚接触者の隔離等により工期が遅れるなど重大な悪影響が生じるためです。

検査は自社の業務遂行上必要なものか

自社が、取引先(下請等)の作業員等がPCR検査を受けた際の検査費用の一部又は全額を負担した場合、税務上は取引先に対する寄附金又は交際費等と取り扱うのが一般的と考えられます。本来、取引先が負担すべき費用を自社が負担したといえるためです。

 

◆寄附金とは( 法法37 ⑦)

寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をいう。

 

◆交際費等とは( 措法61の4 ④)

交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。

 

ただ、冒頭のケースのように自社の業務を安心・安全、確実に遂行するために従業員及び取引先(下請等)に対して契約条件としてPCR検査を義務付け、自社の要請のもと検査が行われた場合、その検査は自社自身の業務のために行われたものといえます。したがって、取引先の作業員等に係る検査費用も含めて自社の業務遂行上必要な費用に該当します。この場合の自社が負担した取引先の作業員等に係る検査費用相当額は、取引先に対する寄附金又は交際費等には当たらないということです。

取引先への資金援助目的や便宜供与目的は寄附金又は交際費等

他方で、取引関係においてPCR検査の実施は“推奨”レベルであり取引先の判断により検査が実施されたものの、検査費用が高額であることなどから資金援助や便宜供与を目的として検査費用相当額を自社が負担するケースも考えられます。

このような場合の検査は、自社自身の業務遂行上必要なものとは言えません。本来、取引先が負担すべき費用であることから自社が負担した検査費用相当額は寄附金の額又は交際費等の額に該当することになります。