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・賃上げによる所得拡大を促進する目的で、適用要件が「継続雇用者給与等支給額が前年比1.5%以上増加した場合」から「雇用者給与等支給額が前年比1.5%以上増加した場合」に緩和されました。即ち、法人全体給与が前年比1.5%以上増加すれば、その増加額の15%が税額控除できることとされ、当該税制の適用期限が2年延長されました。
・税額控除率が25%となる上乗せ要件についても、「継続雇用者給与等支給額が前年比2.5%以上増加」から「雇用者給与等支給額が前年比2.5%以上増加」に緩和されました。但し、下記二つの何れかを満たすという追加要件は従来通りです。
① 教育訓練費が前年比10%以上増加していること
② 中小企業経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けて、経営力向上が確実に行われていること
・控除税額は法人税額の20%が上限です。
2. 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除制度の見直し
・国内新規雇用者給与等支給額が前年比2%以上増加した場合、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除ができることとなりました。教育訓練費が前年比20%以上増加した場合、控除率が5%上乗せされ20%まで税額控除できます。
・控除税額は法人税額の20%が上限です。
3. 中小企業向け投資促進税制等の見直し
・中小企業投資促進税制は特定機械装置等の取得価額の30%特別償却あるいは7%税額控除が認められるものですが、その対象事業に不動産業、物品賃貸業、生活衛生同業組合員が行う料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ等事業が追加されました。また、対象法人に商店街振興組合が加えられ、対象資産から匿名組合契約等事業に供するものが除外され、適用期限が令和5年3月31日まで2年延長されました。
4. 中小企業の経営資源集約化に資する税制の創設
・経営資源の集約化によって生産性向上等を目指し経営力向上計画の認定を受けた中小企業が計画に基づくM&Aを実施して株式等を取得した場合、その後に発生しうる簿外債務、偶発債務等のリスクに備えるため、株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積立し損金算入を認める措置が講じられました。
・この準備金は、その株式等の帳簿価額を減額した場合等に取り崩すほか、翌事業年度から5年間で均等額を取り崩して益金算入します。
5. 株式対価のM&Aを促進するための措置の創設
・法人が、会社法の株式交付により、その有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合に、その譲渡した株式の譲渡損益を繰り延べる措置が講じられました。対価として交付を受けた資産価額のうち株式交付親会社の株式が80%以上である場合に限定され、株式交付親会社の株式に対応する部分のみ譲渡損益の計上を繰り延べます。
・株式交付親会社の確定申告書の添付書類に株式交付計画書及び明細書を加えるとともに、その明細書に株式交付により交付した資産の数又は価額の算定根拠を明らかにする事項を記載した書類の添付が適用要件です。
6. デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設
・産業競争力強化法に新たな事業適応計画(仮称)制度が創設され、DX実現に必要なデジタル投資に対して取得価額の30%特別償却又は3%(グループ外の事業者とデータ連携をする場合には5%)税額控除が措置されました。但し、税額控除額は後記のカーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除額との合計で当期の法人税額の20%が上限とされています。
7. カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
・企業による脱炭素化投資を促進するため、産業競争力強化法の「中長期環境適応計画」(仮称)の認定を受けた法人が、中長期環境適応生産性向上設備(仮称)又は中長期環境適応需要開拓製品生産設備(仮称)の取得等をした場合、その取得価額の50%特別償却又は5%(温室効果ガスの削減に著しく資するものは10%)税額控除が措置されました。
8. 試験研究費の税額控除制度の見直し
・総額型試験研究費の税額控除率を次のとおり見直し、下限を2%(現行:6%)に引き下げた上、上限を14%として、適用期限が令和5年3月31日まで2年延長されました。
(イ)増減試験研究費割合が9.4%超の場合
10.145%+(増減試験研究費割合-9.4%)×0.35
(ロ)増減試験研究費割合が9.4%以下の場合
10.145%-(9.4%-増減試験研究費割合)×0.175
・令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上金額減少割合が2%以上であり、かつ、試験研究費が基準年度試験研究費を超える事業年度の控除税額の上限に当期法人税額の5%が上乗せされました。
・中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が9.4%を超える場合に次のような特例に見直した上で適用期限が2年延長されました。
(イ)税額控除率(12%)に増減試験研究費割合から9.4%を控除した割合に0.35を乗じて計算した割合を加算
(ロ)控除税額の上限に当期法人税額の10%を上乗せ
また、試験研究費が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び試験研究費が平均売上金額の10%を超える場合における控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限が2年延長されました。
・DX促進のため、従来支援対象外のソフトウエアに関する試験研究も支援対象に追加されました。
II. 所得税関連
1. 住宅ローン控除の控除期間の特例の延長等
・住宅取得等に係る消費税等税率が10%時における住宅ローン控除の控除期間13年間の特例について、特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までに居住の用に供した場合には控除期間13年間の特例を適用できることとされました。特別特例取得とは消費税等税率が10%である場合の住宅の取得等で次の期間内に契約が締結されているものです。
区分 |
契約期間 |
入居期間 |
居住用家屋の新築 | 令和2年10月1日から令和3年9月30日まで | 令和3年1月1日から
令和4年12月31日まで
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分譲住宅・中古住宅の取得、家屋の増改築等 | 令和2年12月1日から令和3年11月30日まで |
・住宅ローン控除の控除期間13年間の特例について、合計所得金額1,000万円以下なら床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅用家屋にも適用範囲が広げられました。
2. 退職所得課税の見直し
・勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職手当(短期退職手当等)について、退職所得控除額を控除した残額の300万円を超える部分について2分の1課税を適用しないこととされました。令和4年分以後の所得税から適用されます。
3. 同族会社が発行した社債利子等の見直し
・同族会社が発行した社債の利子及び償還金で、その同族会社の判定基礎となる株主である法人と特殊関係にある個人(法人との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある個人等)及びその親族等が支払を受けるものは総合課税となりました。これは令和3年4月1日以後から適用されます。
*後半は後日掲載いたします。