相続で子に居宅を引き継ぐとき、子は既に別居して生計を別にしているが、持ち家ではない場合、居住用宅地について一定の要件を満たすことにより、小規模宅地等の特例を適用して土地の評価額を最大80%(土地面積330㎡まで)減額して相続税の負担を軽減することができます。一般に「家なき子特例」と呼ばれますが、子に限らず親族に適用することができます。
◆被相続人の要件 ①被相続人に配偶者がいないこと。 ②相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人が いないこと。
◆取得者の要件 ①被相続人の居住用宅地を相続又は遺贈により取得すること ②居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと ③相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと ➃相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと ⑤相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有していること
◆老人ホーム入居の場合 相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていなかった場合においても、相続開始の直前において要介護認定、要支援認定を受けていたこと、老人福祉法等に規定する老人ホーム等に入居していたこと、建物を事業の用、被相続人等以外の者の居住の用に供していないことの要件を満たす時は、入居等の直前まで被相続人の居住の用に供していた宅地等は特定居住用宅地等に該当し、先に掲げた要件を満たす時は特例の適用を受けることができます。
◆孫に遺贈することもできる 「家なき子特例」は被相続人の親族に適用されますので、子に既に持ち家がある場合は持ち家のない孫に居住を遺贈し、先に掲げた要件を満たす時は、特例の適用を受けることができます。なお、孫は相続人ではないので相続税は2割加算となります。孫世帯の生活設計と合致すれば居住を継承させる有効な方法となるかもしれません。