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I. 法人税関連
1. 法人税率の引下げ
・法人税率(現行23.9%)について、平成28年4月1日以後開始事業年度は23.4%、平成30年4月1日以後開始事業年度は23.2%に低下します。
・法人住民税・事業税等を含めた法人実効税率(現行32.11%)は、平成28年度に29.97% (▲2.14%)、平成30年度に29.74%(▲2.37%)となります。中小法人の課税所得400万円以下の部分は平成28年度21.42%、平成29年度25.99%、課税所得400万円超800万円以下の部分は平成28年度23.2%、平成29年度27.57%となります。
2. 欠損金の繰越控除制度の見直し
・繰越期間を9年から10年へ延長する措置が1年遅れて平成30年4月1 日以後開始事業年度から適用されます。
・中小法人等以外の大法人については、繰越控除限度割合(現行65%)が平成28年度以後5%ずつ段階的に引き下げられます。
3. 減価償却制度の見直し
・平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物並びに鉱業用の建物の償却方法について、定率法が廃止されます。
4. 生産性向上設備投資促進税制の廃止
・生産性向上設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度については、適用期限(平成29年3月31日)をもって廃止されます。特に即時償却及び税額控除率の上乗せ措置は、平成28年3月31日までとされている適用期限が延長されません。機械装置等の50%特別償却又は4%税額控除は平成29年3月31日まで可能です。
5. 役務提供の対価として譲渡制限株式を交付した場合の取扱い等
・法人が個人から受ける将来の役務提供の対価として、一定の譲渡制限付株式を交付した場合には、当該役務提供に係る費用の額は、原則として、その譲渡制限付株式の譲渡制限が解除された日の属する事業年度の損金に算入する措置が講じられます。この改正は、平成28年4月1日以後に交付の決議がされる譲渡制限付株式について適用されます。
・法人が支給する役員給与について、役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する一定の譲渡制限付株式による給与については、事前確定の届出が不要とされます。
・損金算入が認められる利益連動給与の算定指標の範囲にROE(自己資本利益率)その他の利益に関連する一定の指標が含まれることが明確化されます。
6. 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設
・地方公共団体が行う地方創生を推進する上で、効果の高い一定の事業に対して法人が行った寄附金について、法人事業税・法人住民税及び法人税からの税額控除を認める、企業版ふるさと納税制度が創設されます。現行の寄付金額の損金算入措置(約3割の負担軽減)に加えて、最大で寄付金額の10%の税額控除(法人事業税)と20%の税額控除(法人住民税及び法人税)が認められます。
7. 法人事業税(所得割)の税率引き下げと外形標準課税の拡大
・資本金1億円超の普通法人に適用される外形標準課税の税率及び地方法人特別税の税率が見直されます。法人事業税所得割の税率を現行の60%程度まで引き下げ、外形標準課税は現行の1.67倍まで拡大し、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
・地方法人特別税の税率は現行の93.5%から414.2%に引き上げられ、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。なお、地方法人特別税は平成29年4月1日以後開始事業年度から廃止され、法人事業税に復元されます。
8. 少額減価償却資産
・中小企業者等の少額減価償却資産(取得価額30万円未満)の取得価額の損金算入の特例について、対象となる法人から常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人を除外した上でその適用期限が2年延長されます。
9. 交際費
・交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、接待飲食費に係る損金算入の特例(費用の50%を損金算入)及び中小法人に係る損金算入の特例(年間800万円の定額控除)の適用期限が2年延長されます。
II. 消費税関連
1. 消費税の軽減税率制度の導入
・平成29年4月1日からの消費税率引上げに伴い軽減税率制度が導入されます。また、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、平成33年4月1日より適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。軽減税率制度の開始からインボイス制度導入までの期間は区分経理に対応するための措置が講じられます。
・軽減税率は8%とし、対象とされるのは、飲食料品の購入(外食サービスを除く)及び定期購読契約に基づく週2回以上発行される新聞の購読です。インボイス制度が導入されるまでの期間は、仕入税額控除について現行の請求書等保存方式が維持されますが、軽減税率適用の課税仕入れには当該資産である旨その他の記載を請求書等に記載することとされます。なお、異なる税率の区分経理が困難な場合には簡便法が認められます。
・インボイス制度導入以後は、現行の請求書等保存方式に替えて、適格請求書発行事業者(仮称)が発行した適格請求書(仮称)の保存が仕入税額控除の要件とされます。
2. 高額資産を取得した場合における中小事業者に対する特例措置の見直し
・簡易課税制度の適用を受けていない課税事業者が、税抜金額が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産の課税仕入及び保税地域からの引取りを行った場合(高額資産の仕入等)又は資産の自己建設等を行った場合には、当該仕入等の日の属する課税期間から3年間、免税点制度及び簡易課税制度の適用が認められないこととなりました。この改正は、平成28年4月1日以後に高額資産の仕入等を行った場合に適用されますが、平成27年12月31日までに締結した契約に基づく高額資産の仕入等については適用されません。
III. 所得税関連
1. 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設
・相続により生じた空き家(敷地を含む)又は空き家除却後の土地を平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡したときは、一定要件を満たせば、居住用財産の譲渡所得の3 ,000万円特別控除を適用できます。
2. 住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設
・三世代同居に対応した住宅改修工事に関し、借入金あるいは自己資金で改修工事を行って、平成28年4月1日から平成31年6月30日までに居住の用に供した場合に一定金額の税額控除制度が導入されます。
3. 通勤手当の非課税限度額の引き上げ
・平成28年1月1日以後に受けるべき通勤手当の非課税限度額が月15万円(現行10万円)に引き上げられます。
4. 医療費控除の特例の創設
・セルフメディケーション(自主服薬)推進のため、個人が自己又は自己と生計を一にする配偶者、その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入対価が年間12,000円を超える場合、その超えた部分の金額(最大88,000円)が総所得金額から控除されます。本特例は平成29年1月1日から平成33年12月31日までの支出に適用されます。また、本特例の適用を受ける場合、現行の医療費控除の適用を受けることができません。
・一定のスイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く)をいいます。
IV. 資産課税関連
1. 中小企業が生産性向上設備を取得した場合の固定資産税の軽減
・中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の制定を前提に、中小企業者等が、同法の施行日から平成31年3月31日までの間において、同法に規定する認定生産性向上計画(仮称)に記載された生産性向上設備(仮称)のうち、一定の機械及び装置の取得をした場合には、当該機械及び装置に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間に価格の2分の1とする措置が講じられます。
V. その他
1. クレジットカード納付制度の創設
・国税の納付手段の多様化を図る観点から、納付書で納付できる国税を対象として、クレジットカード納付を可能とする制度が創設されます。平成29年1月4日以後に納付をカード会社に委託する場合に適用されます。
2. スキャナ保存制度の見直し
・一定の国税関係書類については、電磁的記録による保存(スキャナ保存)が認められています。現行法上、「スキャナ」は原稿台と一体となったものに限定されていますが、デジタルカメラやスマートフォンなどの機器も「スキャナ」として認められることになります。本取扱は平成28年9月30日以後に行う承認申請について適用されます。また、適正事務処理要件の内、相互牽制要件、定期検査要件が見直されます。